メランコリック街道

書きたいことを書く

後悔をしたい人生だった。

 未だにあの頃の夢を見る。私がまだ学生で、それも中学生か小学生の頃の夢だ。退屈に思っていた授業や同級生とのくだらない会話のこと。嫌だった行事や辛かった部活動のこと。楽しい思い出があまりない私だったが、当時の頃の夢ではどこか懐かしさもあり、充実していて光り輝いているように感じた。

 社会人になった私は、周りから「あの頃に戻りたい」という話を聞くようになった。もちろんあの頃とは学生時代の頃だ。私も例外なく一緒に「あの頃に戻りたい」と言っていた。働かなくてもいい、遊んでいてもいい、無限に思えるほどの時間があって、何にでもなれる可能性を持ったあの頃に。でも私は今の私に後悔はしていない。今の微妙な会社で特にやりがいのない仕事をしていることも、家族も友達がいない土地で暮らししていることにも、趣味も恋人もなくただ時が過ぎていることにも。私があの頃に戻りたいのは、私がただの怠け者で何も変わらなくてただ家族が守ってくれる甘えた人生を送りたいからだ。でも人間に生まれて生きていく以上は何時か今のような生活が来ると覚悟していた。人付き合いの苦手で、物事に興味関心の薄い私が今の現状になることは覚悟していた。あの時こうしていたら、こうだったら、私が私のことを理解していくにつれて過去の可能性や希望が無くなっていた。私は後悔はしない。私は私だから。過去に何があろうと、別の選択肢を選んだとしても私は私に戻ってくる。

  私はあの頃の夢を見るたびに思う後悔をしたい人生だったと思う。希望の会社に勤めたかった。大学で興味のあることを学びたかった。部活動で優勝したかった。初恋を成就させたかった。幼馴染とずっと遊んでいたかった。あの頃の夢を見るたびに後悔して、戻ってこないあの頃に絶望して過ごしたかった。「私には後悔する思い出がない。」そのことに私は初めて後悔した。